戻る

コラム　密放流
by　うんちく一番

　「密放流」と聞いて最初に思い浮かぶ魚種は、「ブラックバス」（ラージマウスバス、スモールマウスバス）」でしょう。先日、漁師兄貴さんから、宮ヶ瀬湖へのブラックバスの密放流は、地元で有名な話しだと聞き、何だか悲しい気がした次第です。しかも、インターネット検索すると、２ちゃんねるでも宮ヶ瀬湖のバスの板が立っている始末。。。更に、走・泳・Ｆ・Ｆさんのお知り合いも、早戸川の流れ込みで50アップを釣ったとのお話もあり、開いた口がふさがりませんでした。

　釣れるサイズから考えると、湖が満水位になった最初の頃から密放流がされてきたと思われます。密放流が釣り業界も絡んだ組織的なものであることは、以前から噂になっています。バスフィッシングに関わるビジネスは、正確な金額こそ判りませんが、かなりな金額であることは確かです。月刊誌のバス雑誌だけでも、5〜6誌は発行されています。証拠こそないものの、噂が本当であると信じるには足りる状況です。しかも、密放流の仕方も、イケス付きのトラックで乗り付け、（宮ヶ瀬湖の場合は）湖に掛かる橋の上から大量に放流するようです。

　私はバスフィッシングもしますが、バスの密放流は絶対にすべきでないと考えています。確かに、身近な河川や湖沼でバスが釣れるのであれば楽しいに違いありません。しかし、それによって生態系の破壊の一員に荷担することはもちろん、バス釣り業界を潤し、密放流に荷担していることにもなると考えます。個人的には、いや、バスどころか、本当は、その河川や湖沼にいない魚種は、本来放流すべきでないと考えます。ヤマメのアマゴの境界線が曖昧になったり、ニッコウイワナとヤマトイワナが混在するのは、全て人の（正規放流も含めた）放流によるものです。ただ、ブラックバスやブルーギルと違うのは、鱒族は（大型化するとフィッシュイーターにもなりますが）バスやギルのような大食漢でないため、あまり問題視されないだけです。蛇足ですが、今やトラウトで有名な中禅寺湖は、その昔、魚が一匹も住まない湖だったのを、放流事業によって今のようになったそうです。いいんだか悪いんだか・・・

　放流事業と言えば聞こえは良いですが、一部（？）の放流事業は、自然破壊の影響で減った魚を放流で補っているように思えます。鮎など、その典型のように思えます。そうそう、ポテトチップばかりダベテ食べて太った人が、ファットゼロのポテトチップを食べながら、ダイエットに励む様子に似ていなくもないですね。何だか矛盾を感じます。

　ブラックバスは明治時代に、タンパク源として米国から輸入され、戦後、駐留米軍が広めたルアーフィッシングをきっかけに、相模湖、津久井湖等に移植されました。そこから、個人レベルでの密放流、その後の組織密放流を経て、今や日本全国九州の南端から北は北海道（北海道にも既に上陸したと記憶）まで生存するようになりました。更に、ラージマウスバスだけでなく、比較的冷水に強いスモールマウスバスまで生存する湖沼もある始末です。こうなってくると、全面的に駆除だとか、生息域を限定して生かそうなど、もう、無理な話しです。琵琶湖では、ブラックバスの駆除に躍起ですが、魚の卵を食べるブルーギルの被害の方が甚大になってきています。一方、その昔、バスエリアとして有名であった霞ヶ浦や北浦は、釣れない湖になってしまいました。主に、水質悪化が原因と言われます。

　駆除を進める琵琶湖、八郎潟の反対に、魚種認定をして定期的に放流するともに、入漁料を徴収する湖沼もでてきました。代表的なのは、山中湖や河口湖です。しかし、こちらも放流しているのに、昔ほど釣れないようですし、放流をしていない相模湖、津久井湖は、尚更釣れない湖になっています。

　さて、そうした状況を踏まえ、バサー（バスフィッシングをする人）ができることは何かを考えてみました。それは、「密放流をしない」一言に尽きるとおもいます。そして、バスであれ、何であれ、密放流が大なり小なり生態系に影響を与えることを後世に伝えていくことではないかと思います。もちろん、密放流のことだけでなく、釣り場を汚さない、ゴミを捨てない、必要以上に釣りすぎない、リリースは正しい方法で行うなども、併せて伝えて行きたいと思います。釣りをすること、それだけも自然になんらかの影響を与えていることは事実なのです。自然に感謝し、釣りをさせてもらっているという気持ちは忘れないようにしたいです。

　ご意見、ご批判等は掲示板に書き込んでくださいね。